食中毒の種類と特徴  
食中毒とは?
微生物、化学物質、自然毒などの付着した食品などを摂取しおこる健康被害のことで、次の
4つに大別されます。
女性
1.細菌性食中毒 腸炎ビブリオ、サルモネラ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌等
2.ウイルス性食中毒 ノロウイルス、ロタウイルス等
3.化学性食中毒 農薬等
4.自然食中毒 毒キノコ、ふぐ、貝毒等

1.細菌性食中毒
①感染型・・・・細菌が体内で増殖し、食中毒を起こす。
     
腸炎ビブリオ 腸炎ビブリオ 海産物を介した経口感染が主。原因食品としてはイカや貝類が比較的多いが、その他の一般の魚など、ほとんどの海産魚介類の生食が原因になりうる。増殖が早い菌であるため、夏期に常温で放置した魚介類などでは2-3時間のうちに発病菌数にまで増殖することがある。また好塩菌であるため、漬け物などの塩分を含む食品に二次感染し、それが感染源となることも多い。症状は激しい腹痛(上腹部痛)を伴う下痢を主症状として発症し、嘔吐、発熱を伴うことがある。高齢者など免疫の低下した患者では、まれに毒素による心臓毒性によって死亡する例もある。
サルモネラ サルモネラ菌 ネズミを媒介とすることが多く、近年は感染力が強い鶏肉や鶏卵を介した食中毒が増加し問題になっている。症状は腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状、発熱などで、抵抗力のない者は菌血症を起こし重症化することがある。
カンピロバクター カンピロバクター 肉(特に鶏肉)の生食や加熱不十分、飲料水、サラダ、未殺菌の牛乳などにより感染する。具体的には、保菌動物や鳥類などの糞に汚染された食品の摂取。症状は発熱、下痢、腹痛が主で腹痛は下痢よりも長期間継続。少量の菌でも発症し、潜伏期間が2~5日と比較的長いことから、原因となった食品が残されていないことが多く、原因が特定されない場合も多い。
リステリア リステリア 自然界に広く分布する。低温でも増殖可能で耐塩性が強いことから、生鮮食品だけでなく加工肉、加工魚、乳製品などから検出されることもある。頭痛、倦怠感などの風邪様症状を引き起こすほか、免疫力の弱い人が感染すると髄膜炎や敗血症を起こし重症化することがある。
 

①毒素型・・・・細菌が食品中で増殖して毒素を作り、食中毒を起こす
黄色ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌 人体の皮膚表面、毛孔、特に鼻腔内に存在する常在細菌である。
ヒトの皮膚に常在するブドウ球菌の中では毒性が高く、健常者では創傷部などから体内に侵入した場合に発病することが多い。食品中で増殖する際、毒素(エンテロトキシン)を産生し、この毒素は加熱しても失活しない。
ボツリヌス菌 ボツリヌス菌 土の中に芽胞の形で広く存在する。菌は毒素の抗原性の違いによりA~G型に分類され、人に対する中毒はA,B,E,F型で起こる。A、B型は芽胞の形で土壌中に分布し、E型は海底や湖沼に分布する。症状は主に四肢の麻痺を引き起こし、重篤な場合は呼吸筋を麻痺させ死に至る。その他、複視・構音障害・排尿障害・発汗障害・喉の渇きがみられる。発熱はほとんどない。
 

③生体内毒素性・・・細菌が体内で増殖して毒素を作り、食中毒を起こす。
病原性大腸菌 病原性大腸菌

大腸菌の中で特に強い病原性を示すものは病原性大腸菌とよばれる。O111やO157などの腸管出血性大腸菌は牛の腸内に生息しているとされ、加熱の不十分な食材から感染し、極めて少数の菌で発症し感染症・食中毒をおこす。生食による2011年のO111の食中毒事故は悲惨な結果を招いている。

ウェルッシュ菌 ウェルッシュ菌 人を含む動物の腸管、土壌、海水など広く分布しているため、肉から野菜、魚介類まで汚染される可能性がある。エンテロトキシンによる生体内毒素型の食中毒で,芽胞が一旦高温処理される事で芽胞形成能が活性化され、同時に溶存酸素が減少すると共に競合する他の菌が減少し増殖の好条件が成立し、緩徐に冷却される間(至適増殖温度)に食品中で増殖する。毒素の摂取ではなく原因菌の1千万-1億個以上の摂取により、腸管内で菌の増殖と共に芽胞が形成され同時に毒素が産生され毒素により発症する。芽胞は100℃ 1時間の加熱でも不活性化されず、食品中に残存する可能性がある。症状は腹痛と水様性の下痢を引き起こすが嘔吐、発熱は見られない。※シチュー、カレー、スープなどが原因食となることが多い。

2.ウイルス性食中毒
ノロウイルス ノロウイルス 冬の食中毒として毎年猛威をふるうノロウイルスはカリシウイルス科ノロウイルス属 (+)一本鎖RNAウイルスで、遺伝子型が多様(G1~G5)であり、 ヒトの小腸上皮細胞でのみ増殖し、微量のウイルスが同細胞に到達するだけで発症する可能性がある。症状は発熱・頭痛・腹痛・下痢・嘔吐などで、子供や高齢者では脱水症状などにより重症化する恐れがある。発症者の糞便や吐瀉物には多くのノロウイルスが含まれており、これら汚物の微細な飛沫が空気中に拡散することで感染を広げる可能性がある。ノロウイルス食中毒の原因として二枚貝によるものが多いとされているが、これはヒトから排出されたノロウイルスが感染能力を有したまま下水、河川を経て海水に至り、二枚貝の中腸線に蓄積することが原因と考えられている。

●病因物質別発生状況(平成19年速報値)厚生労働省調べ
◆病因物質別食中毒事故件数

 

  病因物質別食中毒事故件数統計
◆病因物質別患者数  
  病因物質別患者数統計
※件数別の比較ではカンピロバクターによる事故が多い。しかし圧倒的な患者数を発生しているのがノロウイルス。つまり
ノロウイルスによる汚染は感染性が高く、大規模な被害に繋がりやすいことが裏付けられる。
     
■平成20年発生状況はこちら ■平成21年発生状況はこちら ■平成22年発生状況はこちら

3.化学性食中毒
化学性食中毒とは食品に本来含まれていない物質を摂取することによって発生する食中毒。
粉ミルクへのヒ素の混入、食用油へのPCBの混入、魚介類のメチル水銀による汚染といった大規模な被害事例が知られているほか、洗剤、殺虫剤などの身近な物品の誤用や混入によっても起こる。

4.自然食中毒
発症率はほぼ100%、植物性中毒の90%はキノコを原因とする。症状により胃腸型、コレラ型、脳症状型、神経症状型、特殊型に分類される。また、ジャガイモのポテトグリコアルカロイド(ソラニン)やその他、有毒植物の誤食によるものなどがある。動物性自然毒では、 フグ、貝毒など。アニサキスなどの寄生虫によるものもある。 ふぐキノコ

参考文献:
東京都衛生局生活環境部食品保健課(1996)「こうしておこった食中毒」